肉瘤の「かたち」いろいろ 2014年3月

今月は、先月の本ブログでお知らせしたとおり、山田芳人さんのらんちゅうの産卵のようすなどをお伝えする予定でしたが、取材の数日前に「4月からの消費税率変更によるかけこみ需要で仕事が忙しくて、今月は撮影の時間がとれそうにありません…」との連絡がありました。
ということで、今月は番外編として山田芳人さんのらんちゅう以外の金魚の話題です。

まずは、金魚の卵の画像です。卵を見ただけでは、それが何の品種であるかはわかりません(この卵はらんちゅうではありません)。この画像の卵はふ化間近なので金魚の目のようすがはっきりわかります。
この画像のように水槽を使用して卵を撮影するのは、じつはそれほど多いことはではありません。よほどのことがない限り撮影しないというか、したくないのです。けっこう手間がかかるということもありますが、何より撮影自体があまり楽しくないですし…
私の場合、自分で飼育している金魚で採卵を行い、水槽を部屋にセットしたまま、数日間ほぼ毎日同じ時間に撮影を行いました。卵だと金魚のように泳ぐことがないのでピント合わせがラクかとおもいきや、カメラを手に持って撮影すると、ほんのわずかに動いただけでもピントがずれてしまいます。
結局、時間がかかったわりに、このとき撮影した写真にはあまりよいものがありませんでした…
春といえば金魚の繁殖、ということで金魚の卵の紹介でした。

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もしかしたら、このブログをご覧いただいているのは「らんちゅう以外の金魚には興味なし」という方が多いかもしれません。そういう方には申し訳ありませんが、今回らんちゅうの画像はこの1点のみです。
このらんちゅうはいわゆる愛好家育成もの、つまり品評会に出品することを目的に育成されたものです。安価で販売される量産ものとのちがいはいろいろありますが、頭の瘤のつき方も大きくちがっている点のひとつです。

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そのちがいを見ていただくのには、本来であればらんちゅうでご紹介したほうがよいのですが、あいにく量産ものの画像がすぐ出てきません。よって、今回はらんちゅうと同じく肉瘤をもつ品種、アズマニシキ(東錦)の画像によるご紹介です。

下の個体は、典型的な弥富型の特徴をもつアズマニシキです。体の色彩はきれいなものを選んでいるので、他の画像のアズマニシキと比べても一番華やかな感じですが、今回の話題に体色は関係なしということで…
もっとも見る機会の多い量産もののアズマニシキがこのタイプで、瘤は発達しますが比較的凹凸は少なく、全体的に丸っぽい印象です。体型も短めのものが多くみられます。成長するとそれなりに瘤も発達していきますが、それでも金魚愛好家の目からはちょっと物足りなく感じられます。

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つぎは、ここ10年くらいの間にポピュラーになった「鈴木アズマ」です。このタイプの最大の特徴はよく発達する肉瘤で、とくに目の前の部分(フンタン)がひじょうに発達するので人気があります。弥富型と比べると、体形もずいぶんちがっていて、長くてやや細めです。また、尾の開き方にも特徴があり、がっしりと横に張りだす「良い型」が多くみられます。

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最後は、金魚の本場、中国から輸入されたアズマニシキ(中国ではそう呼んでいませんが)です。中国にもいくつかタイプがあるので、画像の個体が典型的な中国型ということではありません。しかし、各タイプとも共通しているのはどれも肉瘤がとてもよく発達している、ということです。画像の個体は、弥富型と同じく丸くて短い体型をしていますが、もっと細くて長い「鈴木アズマ」のようなタイプもいます。

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今回は、いくつかの異なるタイプの肉瘤をアズマニシキの画像でご紹介しました。じつは、アズマニシキだけに限らず肉瘤の発達するタイプの品種では、どの品種でも同じようにこうしたちがいはみられます。育成される環境や飼育スタイルによっても肉瘤の発達はずいぶんとちがいが出てきますが、同じ環境で飼育しても、出やすいタイプと出にくいタイプはあるようです。

さて、先月本ブログで「近日発売予定」とご紹介した金魚専門雑誌「金魚伝承」の最新号ですが、発売が1か月遅くなって今月末になりました。その最新号に新商品「特選金魚の餌星更紗特小粒」の広告を掲載していますので、ぜひご覧になってください。

それでは来月もお楽しみに。